飼い主の了承を得て、ついにサロン(美容室)でひきとったチョコちゃん。H病院の院長に相談し、入院ではなくサロンで世話することにし、24時間体制で補液点滴、投薬などの看護をはじめました。
チョコちゃんのえさやりさんたちも話を聞きつけ、毎日のように見舞いにやってきました。親しい近所の猫好き女性2人は、時間分担を決めてTさんの仕事中に食事を与えてくれたり看護の手伝いをしてくれました。
1週間後、チョコちゃんは静かに旅立ちました。
散歩道の花が好きだったチョコちゃんに、みなさんからお花がおくられました。写真のヒマワリは96才になるおばあちゃまからです。これまでサロンで看取った地域猫たちと同じように火葬し、お骨を奥に置きました。
●弔問が1週間以上とぎれず
すると次の日から1週間以上、毎日チョコちゃんの弔問が続きました。その数10人以上。隣町からくる人や、都営住宅で育ち巣立っていった人も親から話を聞いてやってきました。えさやりさんたちの情報網もさることながら、チョコちゃんはこんなにも多くの人達にかわいがられていたことに驚きました。
あるえさやりさんは10年以上、1日も休まずチョコちゃんのえさやりとブラッシングに通ったそうです。草むらに飲水ボウルを置き、隣に必ずお水満タンのペットボトルも置きました。もし足りなくなった時に、だれかが水を与えてくれるように。真夏には、ペットボトルの水を凍らせて置きました。チョコちゃんはほとんど歩けなくなってからも、その人の来る時間には必ず待っていたそうです。
サロンのTさんにも思い出があります。他の猫の捕獲をしようと都営住宅の敷地で静かに待機していたとき、チョコちゃんが「何やってるの?」と二ャ二ャいいながら遊びにきて離れなかったそうです。おなかがすいているわけではなく、人と一緒にいるのが楽しいのです。
「捕獲予定の猫がきてもチョコちゃんと遊び始めるので、なかなか作業になりませんでした。でも、こんな愛嬌あるチョコちゃんがほんとにかわいかったんです。サロンで最期を看取ることができて本当によかったです」
数カ月たった今でも、サロンにはときおり弔問客が訪れるそうです。
世話する人々の愛情に最期までこたえてくれたチョコちゃん。その交流は、都心でもまれな都営住宅の環境があったからこそでしょう。この住宅も間もなく取り壊しで姿を消すことになります。でも、けなげに生きる猫とそれを見守る人々との温かいつながりは受け継いでいきたいものです。
コメント
みんな置かれた環境の中で、一生懸命に生きて、愛されて、また人々に癒しをあたえ続け感動いたしました。
殺伐とした世界観の中でこのようなヒュウマニテーな出来事は大いに人々に伝え、本来持っている心を取り戻して欲しいと感じました。
私もまた、心が洗われる感動を覚えました。素敵な実話を掲載して頂き有難うございました。
by JUJU 2019-07-23 9:49 AM |
|コメントありがとうございます。
一匹の小さな存在が立場や世代を超えた人々の心を結びつけることにいつも驚きを感じます。だからこそ地域猫(外猫)活動の意味は大きいと思います。
by nekomimist 2019-07-24 12:18 AM | |