猫耳ブログ

渋谷 地域猫  SHIBUYA☆CATS

表参道・地域猫サロン② 愛されたチョコちゃん(前編)

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子猫のときから外のハウスで暮らしていたチョコちゃん

 都営住宅の広い敷地には、地域猫もいれば飼い猫もいます。「チョコちゃん」も飼い猫でした。ただし飼い主は自分の住む棟の下に猫ハウスを置き、室内には入れていませんでした。もともとは飼い主の亡くなった家族が外で世話していた猫で、いまの飼い主がそのかたちを引き継いだのです。
 外暮らしのチョコちゃんでしたが、環境に恵まれた場所なので、飼い主のほかにも何人かえさやりんさんがいました。
 チョコレート色の毛に愛嬌のある表情で、えさをくれる人を見つけると必ず出てきて甘えます。道の真ん中でグーグー昼寝する姿も愛らしく、みんなの人気者でした。しかしここ数年は耳が遠くなり、えさやりさんが草むらを探す姿が見かけられました。

●ある夜、呼吸が苦しそうに

口を開けて苦しそうに呼吸していた

 異変は昨年の秋でした。飼い主から「チョコちゃんが変だ」との連絡を受け、美容室(サロン)のTさんが行ってみると、口を開けて苦しそうに息をしています。翌日すぐに、地域猫でお世話になっているH病院に、飼い主と一緒に連れていきました。
 診断は、猫風邪の悪化によるもの。「今後また風邪をひくと同じ症状がでて苦しむので、終生、気管支の薬と心臓の薬が必要です。もう外での飼育は無理ですよ」。院長の説得で、飼い主も室内に入れることを了承。その準備をしてもらうため、サロンで2日間預かりました。
 サロンはチョコちゃんにとって初めての場所で、先住猫もいましたが、穏やかに楽しそうに過ごしました。

●1週間で再び外暮らしへ

 飼い主の家に入れてもらったチョコちゃんですが、1週間後、再び外に出されてしまいした。どうも室内での世話は負担だったようです。Tさんは心配で時々チョコちゃんの様子を見にいきました。
 ある日、ふとサロン入り口を見ると、チョコちゃんがドアの前にちょこんと座っています。びっくりしてドアを開けると、当たり前のように入ってきて、ご飯をムシャムシャ食べ始めました。しばらくして帰ろうと外に出ましたが、3歩進むと振り返って、「一緒に来ないの?」。Tさんはチョコちゃんのハウスまで送っていきました。
 次の日から3時間おきにやってきては、送ってもらうことを繰り返しました。サロンが忙しいときは抱っこして急いで送り、時間があるときはのんびりと。立ち止まって一緒に日光浴したり、草むらチェックをしながら春の花を眺めます。それはふたりの楽しい散歩の時間となりました。

●3時間ごとに通うように

 「チョコちゃんの居場所(テリトリー)は200メートルほど離れており、とても17才メスが初めて移動する範囲ではありません。ごはんもたくさんの人からもらっています。それでもこのサロンに通ってくるのは、安心できる場所がほしいようにも思えました」
 しかし飼い主がいるのですから、飼育の仕方や価値観が違うからといって勝手なことはできません。
 「私達ボランティアは、飼い主のいない猫の不妊去勢や医療処置、里親探しをします。一方、飼い主に対しては、その責任を全うさせるよう寄り添いサポートすることが大切だと思うのです」
 チョコちゃんも毎回自分のハウスへ帰っていくので、Tさんは様子を見ることにしました。
 しかし4月ごろになると、チョコちゃんの足がよろつくようになり、サロンまで来られなくなりました。飼い主に相談しましたが、もう病院へは連れていかないと。
 そこで今度はTさんが3時間おきにチョコちゃんのいる場所まで通いました。時には道の真ん中で座り込み、車がきてもよけられません。そのたびに抱き上げてハウスに戻しました。最後は、ずぶ濡れで低体温になり、草むらにうずくまっていました。ついにTさんは飼い主に、「チョコちゃんは最期まで私が看ます」と言ったのです。
(続く)

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