東京・表参道といえば、世界の人気ブティックや美容室がひしめく流行最先端の街。でも裏道に入ると、築何十年にもなる都営住宅が並ぶ場所があります。広い敷地には植物が生い茂り、昭和の雰囲気そのまま。表通りの喧騒がうそのようです。
当ネットワークのメンバー、Tさんの美容室(サロン)は、この都営住宅のすぐ近く。店内には2匹の猫がいます。
ドアボーイをしている「ちゃーくん」は、もと地域猫(オス推定14歳)。奥の方には、スタッフ猫の「なーちゃん」(オス推定7歳)がいます。2匹とも、3年ほど前始まった都営住宅の取り壊しによって行き場を失った“難民猫”なのです。
都営住宅の敷地は少し前まで猫にとってとても居心地のいい場所でした。ペット禁止なので堂々と飼う居住者は少ないのですが、えさをやって世話してくれる人が多いので、当ネットワークは猫たちの不妊去勢手術を行ってきました。
「都営住宅の地域猫は独特でした。猫好きの人を見ると、ニャンニャン、ごはんちょうだい、と追いかけてきて・・住民にかわいがられているので、人なつこいんですね」とTさん。
しかし老朽化による建て替えとなり、サロンのすぐ隣の棟で取り壊しが始まりました。住民は移転先に猫を連れていけず、多くが置き去りとなったのです。
「工事が始まるとき、敷地がぐるりと高さ3メートルのバリケード塀で囲われ、人も猫も出入りできなくなりました。そこで都営住宅問題に取り組んでいる都議会議員さんに相談し、中にいる猫が出てこられるすき間をつくってもらいました」
ここから飼い猫(放し飼い)6匹を保護し、飼い主の移転先で室内飼育にしてもらったり、里親に譲渡したり。地域猫7匹もバリケード塀の外に誘導し、えさをやるようにしました。
その過程で、なーちゃん、ちゃーくんは自主的にサロン猫に収まったのです。最近は、地域猫のボブくんも一日に何度も来るので、外にハウスを置いています。
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