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渋谷 地域猫  SHIBUYA☆CATS

表参道・地域猫サロン⑤ 初代店長「ちょーちん」~保護活動にも貢献してくれた

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23年前、初代店長に就任した「ちょーちん」。
捨て猫だったが、地域の子猫の面倒をよくみた優しい猫だった

 サロンのオープンまもなく、毎日店をのぞきにくる1匹のサビ柄猫がいました。そのうち、店の前で昼寝をするようになり、ご飯も遠慮なく食べ、誰にでもなでさせてくれました。
 やがてサロンの中に入ってきて、椅子の上ですっかりリラックスして寝るように。猫カゼのため寝ているときに鼻ちょーちんを出すので、スタッフが「ちょーちん!」と呼ぶようになりました。それが初代店長「ちょーちん」です。
 人慣れして首輪もついていたので、飼い主がいるのだろうと思い、「通勤店長」として迎えていました。でもカゼの治療をしてあげたいと思い、近くのD動物病院に連れていき、ひととおりの検査もしました。不妊手術は済んでいるようでした。
 ちょーちんはお客様がいらっしゃると、「にゃーん!」と鳴いてお出迎えして、お客様の膝に乗り、どこでも撫でていいですよ~。優しくおおらかな接客ぶりは、まさに「店長」そのものでした。おかげで、動物や猫が苦手といっていたお客様まで、「猫ってこんなにかわいいのー!?」とすっかり猫好きに変身。その後サロンでは100匹以上の子猫、成猫を保護するのですが、里親探しにもちょーちんが大いに貢献してくれました。
 数カ月ほど通勤店長状態が続く中、近所の人がサロンに来てちょーちんを見て、「よかったわ、ありがとう!」と言っていくようになりました。わけを聞くと、「ちょーちんは捨て猫だったの。だからここで飼ってくれて本当にありがとうって」。
 驚いたTさんは、近所の猫の世話人・Sおばあちゃんに事情を聞きにいきました。
 おばあちゃんによると、ちょーちんは、都営に住んでいた高齢女性がかわいがっていた猫でしたが、最近亡くなってしまい、娘さんが整理に来た時に、「私は猫が嫌いなので」と、外に出してしまったそうです。そのため、かわいそうに思った周りの人たちが面倒をみてきたそうです。
 飼い主がいなくなったことを知ったTさんは、「それなら、天寿を全うするまでうちで面倒見ましょう!」。ちょーちんは、はれて「住み込み店長」となりました。
 すでに高齢なので外出もあまりせず、時々周りにパトロールに行く程度。ほとんどの時間をサロンで過ごし、営業に励みました。ただ、春から初夏にかけては、1日に何度も外に出かけていくのです。
 なぜこの時期だけ外に行くのか気になったTさん、あるとき探しに行くと、ちょーちんが生後数カ月の子猫と一緒に歩いているのです! まさか、いつのまにか出産していた? いやいや、さすがにそれはないから、母猫のいない子猫の面倒をみているのかな・・。
 再び、Sおばあちゃんに聞きにいくと、ちょーちんは前に一度出産・子育て経験があり、そのせいか子育てが大好きで、他の猫が産んだ子猫が母猫から離れようとしたり、ひとりで遊んでいるのを見かけると、とんでいって子猫に寄り添い、母猫のところに戻るまでずっとついているのだそうです。
 母性本能豊かで子猫の面倒をよく見てくれる猫は時々いるものです。ちょーちんはまさにそういうタイプで、春生まれの子猫のことが心配で見に行っていたのです。なんという優しい性格なんだろうと、Tさんはちょーちんのことがますます大好きになったそうです。
 23年前、サロンがオープンしたころは、渋谷では地域猫活動やノラ猫の不妊去勢がほとんど始まっておらず、この都営住宅周辺には飼い主のいない猫や子猫がたくさんいました。TさんはSおばあちゃんやちょーちんに導かれるように、猫たちの不妊去勢や保護の活動を始めるようになったのです。

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