完成間近の新国立競技場。この周辺は、再開発が始まる前まで広い敷地のマンションや公営住宅があり、猫が多い地域でした。隣接する新宿区と協力して区境を行き来する猫の不妊去勢手術をしたこともありました。現在は地域猫の数もだいぶ少なくなっていました。
ところが9月、競技場前の大通りで車にひかれそうになった子猫を住民が目撃、「鈴のおばさん」に連絡しました。鈴のおばさんとは、この地域で長いこと地域猫の世話をしている方です。猫たちのごはんタイムに鈴の音で呼ぶことで知られていました。
子猫がいることを聞いたおばさんは3週間かけて子猫を探し出しました。人懐こいのですぐに保護でき、当ネットワークがお世話になっているH動物病院に搬送。3カ月齢で体重2キロ超なので、すぐ不妊手術できました。健康状態もいいので捨て猫なのかもしれません。すでに飼い主募集中です。
●きょうだい猫も工事現場に
鈴のおばさんは、もう1匹、きょうだいらしき猫も見つけました。こちらはビビリ屋さんで、なかなか近づけません。競技場の敷地の中にいるので、塀の下からえさを与え慣れさせようとしていました。
ところが先週から姿を見せず、鳴き声だけ聞こえてきます。5日たち、心配でたまらず工事の人に相談すると、職人さんたちが集まってきて、鳴き声が聞こえた場所を探してくれました。側溝のフタを次々どかしていくと、そこへ子猫が。「いたー!」。次の瞬間、子猫は一目散に逃走ーー!
でも、おばさんがごはんを置いて待っていると、子猫もさすがに空腹だったようで、戻ってきました。夢中で食べ始めた子猫を手持ちの飼育ケージに保護しました。
やれやれとひと安心したのですが、このあと再びハプニングが・・。
●子猫、ふたたび逃走ーー
ケージを自宅に運び、タクシーでH病院に連れていくため子猫をキャリーバッグに移したあと、玄関前で電話をしていると、子猫がキャリーから脱出してしまったのです! キャリーの鍵をうっかりかけ忘れたのです。
緊急連絡を受けたネットワークメンバーが、急ぎ捕獲器2台を運びました。初めての場所なので子猫は近くにとどまっているはず。スピーディーな捕獲が必要です。植え込みの横などに捕獲器をセットすると、深夜に子猫が入ってくれました。
最初から捕獲器で保護するのが安全だったのですが、おばさんとしては使い慣れない捕獲器よりも、自分のやり方で保護したかったのでしょう。おばさんのように地元で懸命に猫の世話をする方は、どの地域にも必ずいます。その方々のおかげで、これまでたくさんの地域猫が救われてきたのです。
●現場のみなさまに感謝!
無事保護されたビビリ子猫ですが、栄養不足のせいか体重1100㌘しかないため、不妊手術は延期。港区の「人猫共生会議」さんのシェルターで検査などきめ細かいケアをしていただくことになりました。健康が回復し、里親探しが始まりましたら、またご報告します。
国立競技場で子猫探しにご協力いただいた工事関係の方々にも、あらためてお礼申し上げます。開発で姿が変わっても、猫と共生していく街でありたいものです。
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